「hinotori™サージカルロボットシステム」導入
2024年3月に手術支援ロボット「hinotori™」が導入され、2024年6月より「hinotori™」によるロボット手術を開始します。
「hinotori™」は、産業用ロボットで業界を牽引している川崎重工業株式会社と、検査・診断の技術を保有し、医療分野に幅広いネットワークを持つシスメックス株式会社の共同出資により設立された株式会社メディカロイドが開発した日本製の手術支援ロボットです。
「hinotori™」は、「人の代わりとなる」のではなく「人に仕え、人を支える」存在を目指し開発されました。
「hinotori™」特徴
- スマートに動くオペレーションアーム
低侵襲で患者様の早期離床及び社会復帰が可能です - 高精細画像
より高画質な環境で内視鏡手術が実現でき、手術のクオリティが向上します - ドッキングフリーデザイン
すっきりした術野で助手の邪魔になりません - エルゴノミクスデザイン
好みの姿勢に機械側を合わせることができ長時間の手術でも疲労感を軽減します - 国産の安心感
国産ならではのスピード感で要望を速やかに製品に反映します
ロボット支援手術のメリット
- 繊細な手術
アーム先端の鉗子は人の手よりも大きな可動域があり、手振れもないため非常に繊細で精緻な手術を行うことができます - 小さな傷跡
直径1cmほどの穴を複数あけて手術をするため、傷口を小さくすることができます - 出血量が少ない
腹腔内に炭酸ガスを注入することで、広く明るい視野を確保し手術が可能なため、細かい血管も安全に処理することができます - 術後疼痛が少ない
手術は病変部以外にダメージを与えにくく、一つひとつの傷口が小さいため、手術後の疼痛が少ないです - 機能の温存
執刀医自身でカメラを動かして視野を調整することができ、細かい血管や神経まで捉えて正確な操作が行えるため、身体の機能を温存することも可能となり、QOLの向上が期待できます - 合併症リスクの低減
傷が小さいことから細菌感染のリスクが少なく、術後は早くに身体を動かせることから血栓ができにくく、身体の内部が空気に触れないことで腸閉塞を起こす頻度も抑えられます
適応手術
部位 | 手術名 | 診療報酬点数 | 概算医療費 (入院日数11日~15日) |
---|---|---|---|
前立腺 | 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) | 95,280点 | 45万~55万 |
- 2024年6月1日時点の適応手術です
- 診療報酬点数は、1点あたり10円を乗じて医療費を算出します
- 診療報酬点数の合計は、手術点数のほかに麻酔や検査・入院料等が加わるため、患者さんの状態によって異なります
- 概算医療費は保険診療の3割負担で計算しています
- 一定金額を超えた場合には高額療養費制度の適用対象です
医師メッセージ
泌尿器科医
2024年6月より当院でもロボット支援手術が開始されます。まずは泌尿器科において前立腺癌の患者さんに対してロボット支援前立腺全摘除術から導入されます。
ロボット支援手術は基本的には腹腔鏡手術ですが、従来の腹腔鏡手術と比べて大きな利点があります。
従来の腹腔鏡手術において、術者が鉗子類(組織を切除したり、縫合したりする器機)を直接操作していたのに対し、ロボット支援手術では、ロボットのアームが術者の腕を代用し、鉗子類をより正確に操作します。そしてその鉗子の先端には関節があり、あらゆる方向に動かすことが可能です。ロボットのアーム自体は医師が手術コックピットで操作します。さらに従来の腹腔鏡手術では2次元映像での手術でしたが、ロボット支援手術では3次元の立体映像を見ながら手術を行えます。
つまり、腹腔鏡手術の低侵襲性を維持しつつ、今まで以上に精度の高い手術を可能にするのがロボットと言えます。
今後は、腎臓や膀胱の癌に対するロボット支援手術も導入していく予定です。
そして、ロボット支援手術は泌尿器科領域のみに限らず、一般外科領域、婦人科領域においてもその適応は拡がっています。
今後、手術を必要とされる多くの患者さんのお役に立てることと思います。
Q&A
Q.ロボット支援手術を選択すると費用は高くなりますか?
従来の手術と比べ診療報酬点数は高くなります。
ただし、高額療養費制度を利用して頂ければ費用負担は従来と変わりません。
Q.腹腔鏡手術との違いは何ですか?
腹腔鏡手術は一般的に3名の医師で行います。術者、助手、カメラ助手がそれぞれの役割を担うことで手術が進行します。
一方でロボット手術は1人の術者によって行います。術者がロボットアームとカメラを自分で動かすことで、術者の思いのまま自由自在にロボットを操ることができます。
Q.手術中に「hinotori™」に異常があった場合の対応はどうなってますか?
株式会社メディカロイドのカスタマーサポートで、「hinotori™」の使用状況をリアルタイムでモニタリングしております。
手術中に「hinotori™」に異常があった場合、トラブル解決に向け迅速にサポートを行う体制がとられています。
お問合せ先
公立藤田総合病院 地域医療連携課
TEL:024-585-2121(内線2602)